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2008年7月 6日 (日)

ファントムナイツ100

 一連の騒ぎが収まると、高野が立ち上がり、マルスのところへいって両手を握った。
「まずはお礼をさせてください。娘を、恵を助けてくれてありがとう。」
「恵ちゃんのお父さん?」
「そうです。君にはなんて感謝していいかわからない。」
「あの、恵ちゃんは、いつも優しくしてくれます。だから、お礼なんて・・・」 
 藤波が話し始めた。
「一応、事情をご説明します。今日の4時半すぎ、マルスが、高野氏の娘さんである恵さんと、アンドロイドのユリと歩いているところへ、5人の暴漢が襲いかかりました。バットや鉄パイプを持って、襲い掛かってきたものですが、ユリ、マルスの働きで犯人グループは撃退、5人とも殺人未遂の現行犯で逮捕しました。このときの争いで犯人グループの一人が負傷しましたが、状況は明かに正当防衛と思われますので、犯人の負傷の責任を問うことはありません。」
「犯人の怪我はひどいのですか?」と玲子が聞く。藤波は玲子が心配していることを感じ取った。
「いえ、肋骨にひびが入っただけです。命に別状は有りません。それに、肋骨の損傷はユリというアンドロイドによるものと判明しています。マルスは鮮やかな当て身で気絶させています。」
「そうですか」と玲子は安堵したようにつぶやいた。そんな玲子の様子を見て藤波が続ける。
「お嬢さん、あなたは弟さんの力をご存じですね?」
 玲子はためらわずに答える。
「はい」
「マルスを現場で保護したとき、例のナイフが警察の武器探知機に反応しました。先ほどのグラハム巡査が、マルスに事情を聞いたところ、マルスは、すぐに差し出しました。マルスは決して罪を問われるようなことはしていません。武器のデータの照合もせず、あなたや弟さんに不快な思いをさせて本当に申し訳ありません。私からも、お詫びいたします。」
「いえ、気になさらないでください。私はマルスが戻ってくれば、それでいいんです。マルスは、この様子だと不快な思いはしていないと思います。」と、玲子が答える。この、ある意味、脳天気な弟が、不快な思いをするとは、玲子には想像できなかった。
「ところで、マルスはなぜ、今回、ナイフを使わなかったんでしょう。差し支えなければ、あなたの考えをお聞きしたい。」
「たぶん使う必要がなかったからだと思います。素手で倒せる相手に、あえて武器を使う必要はないとおもいます。」と、玲子が答えた。藤波が笑顔を浮かべた。
「なるほど、ごもっとも。事件の被害を未然に防止していただいて、ありがとうございました。」と、藤波は席を立つと頭を下げた。
「いえ、どういたしまして。」と玲子は答える。藤波の視線が沈黙を保っているサムのほうへ向いた。玲子と一緒に、サムの母親がやってくるとは、藤波には意外だったが、先ほどの様子からして、サムの母親と玲子は親しい間柄なのだろう。
「ところで、ダグラス中佐、パートナーは、いまどこに?」
「車で待っています。」
「では、ご家族の方々は警察で送る手配をしますから、ノーマと一緒に、捜査を手伝ってもらえないだろうか。かつてのよしみで・・・」
 サムは母親にいった。
「母さん、いいだろうか。」
 半ばあきれたように息子を見た母親は言った。
「全く、あなたはこれを見越してノーマをつれてきたわね。いいわ、自分の任務を果たしなさい。」
 高野がハンディをみて言った。
「じきに私の車が迎えにきます。みなさんは私がお送りしましょう。そうさせてください。」
「では、お言葉に甘えてお願いします。じゃあ、二人とも帰りましょう。」とアリスは、玲子とマルスを二人を促した。

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2008年7月 5日 (土)

ファントムナイツ99

 車にノーマを残し、サムと、母親であるアリス・ダグラスは警察の建物に向かう。建物の入り口の前では玲子がぽつんと立っていた。
「おばさん、ごめんなさい。どうしてもマルスに会わせられないというの・・・ 」と、玲子がアリスに言った。思ったとおり、警察は信用できぬと、アリスは憤然たる面もちで、息子のサムとともに警察のカウンターに向かった。カウンターの若い警官は上機嫌で調書を作っていたが、玲子の姿を見ると、めんどくさそうに言う。
「また、あんたか・・・ 」
 そして、アリスに視線を転じる。
「あなたが、この子の母親ですか?」
「いいえ、私は後見人です。この子には両親はいませんので。」
「とにかく、お引き取りを! さっきも、そのお嬢さんに言いましたが、あのロボットの引き渡せません。」
「なぜです?」
「それは言えません。とにかくお引き取りを!」
「あなた方はロボットとはいえ、無実のものを拘束しているのですか?」と、アリスは容赦がない。
「罪のあるなしを調べるのが我々の仕事です。それに、あのロボットは法を犯しました。立証できます。」
 玲子の顔から血の気が引いた。サムはそんな玲子の肩を支える。アリスは引き下がらない。
「何かの間違いです。」
 カウンターでアリスと警官がやりあっているところに、高野と共に藤波がやってきた。
「なにをしてる?」と、藤波が警官に聞く。
「はっ、何でもありません。このご婦人がちょっと」
 藤波は何かを察したらしく、警官が作っていた調書のデータをのぞき込んだ。そして、怒気を含めた声で警官に言う。
「グラハム、お前はマルスを犯罪ロボットに仕立てているのか?」
 グラハムは胸を張る。
「あのロボットは、レーザーナイフを不法に所持していました。」
 この手柄は自分のものだという強気の姿勢だ。が、藤波はそんなグラハムの下らない野心を一蹴した。
「あのレーザーナイフは、市長の許可を得て、所持しているものだ。データの照合ぐらいはしろ!」
「市長の許可?」と、グラハムは混乱した。なぜ、そんなものが存在する。
「武器探知機に引っかかったものを押収するのは、職務としては当然の処置だ。だが、犯罪者に仕立て上げるのは重罪だ。グラハム巡査、マルスをどうした?」と、感情を抑えつつも、怒りを込めた藤波の声はグラハムを圧倒した。彼はやっとの思いで口にする。
「留置所です。」
「では、グラハム巡査、君が不当に拘束しているマルスを、会議室へ連れてきてくれ。」

 藤波は、高野とアリスを会議室に案内する。その後ろにサムと玲子が続く。
「どうぞ、おすわり下さい。」というと、藤波は玲子に頭を下げた。
「大変申し訳ないことをしました。あなたにはかなり不愉快な思いをさせたようです。今回のことについては、あなたに我々を告発する権利があります。」
 冷ややかにアリスが言う。
「警部、警察には、まだ悪癖が残っているようですね。ロボットには人権がありません。罪を問われた段階で、弁明の機会が与えられず、処分されたこともあります。二度とこのようなことは、してほしくはありませんね。」と、アリスの言い方は手厳しい。
「お連れしました。」と、グラハム巡査がマルスと共に部屋に入ってきた。
「今回のこと、まことに申し訳ありません。どうか、お許しを!」と、グラハムが深く頭を下げる。マルスは玲子を姿を見ると、玲子に抱きつく。玲子もマルスの姿を見て、やっと安心したようだった。アリスはグラハムにいった。
「あなたが玲子に、何をいったのかは聞かないことにします。これ以上、腹立たしい思いはしたくはありません。これに懲りて、2度とこのようなことはしないでください。そのかわり、私たちは、あなたを告発するようなことはしません。」とアリスがいった。
「ありがとうございます。」
 それに続けて藤波が言う。
「だが、グラハム、組織内での処分は別だ。後日、正式に処置をする。わかったな!」
「はい・・・」と、再び頭を深く下げると、グラハムは退室した。

2008年7月 4日 (金)

ファントムナイツ98

「お父さん、お母さん」
 迎えにきた母親に、恵は抱きつく。
「怖かっただろうな、無事で何よりだ。ユリもよくがんばったね。ありがとう。」と、一緒にいたユリに高野は声をかけた。その場に立ち会っていた藤波は、高野に声をかける。
「高野さん。犯人は5人、バットや鉄パイプで、3人の子供を襲っています。通行人の目撃証言も多数有りましたので、正当防衛ということでけりがつきます。なにも問題はありませんので、お嬢さんたちと一緒に帰っていただいて結構です。」
「それはよかった。じゃあ、ユリも連れて帰っていいんですね。」
「もちろんです。それから、ちょっとお話があるのですが、奥さんとお嬢さんは、外でお待ち願いますか? そのアンドロイドのお嬢さんも。」
 高野は妻にいう。
「成美、二人を連れて、先に家に帰ってくれるか。それから、ジムを迎えによこしてくれ。」
「一緒に帰らないの?」
「ちょっと警察と話がある。」
「わかったわ。二人とも、おいで。」
 成美は二人を連れて、運転手兼護衛であるジムとともに部屋を出ていく。藤波は高野に近寄った。
「その、なんですな、今回の事件は単なる通り魔とは考えにくいんで。明かに、あなたのお嬢さんを狙ったものと思われます。なにか、心当たりは?」
「心当たりもなにも、脅しは日常茶飯事なんですよ。今日も陸軍の幹部から嫌みを言われたばかりでして。彼らも先のテロの際、なにもできなかったことを議会から弾劾されています。だから、保身に躍起になって、私を何とかすれば、自分たちの首が安泰だと考えているふしもあります。」
「なるほど、もっともな動機ですな。ところで、お嬢さんのクラスメートのアンドロイドのことはご存知で?」
「娘から、かわいいアンドロイドが転入してきたと聞いていましたが・・・」
「あなたはマルスのことをご存じ?」
「ええ、あの子の誕生を、この目で見ていましたから。」
「お嬢さんは、マルスのほんとの力をご存じで?」
「いえ、知りません。」
「では、お嬢さんには、ある程度、事情を話された方がよいかと思います。だいぶ、ショックをうけてましたので。」
「わかりました。そうします。」
 藤波はドアをあけ、高野を部屋の外へ送り出した。高野は藤波に言った。
「ところで、マルスに会って、お礼を言いたいのですが。」
「少し待っていただければ・・・・」
「いや、かまわんですよ、待たせてください。

2008年7月 3日 (木)

ファントムナイツ97

「今日も高野さんの家に遊びに行ってきます。」という、お気楽なメッセージが玲子のハンディに届いた。玲子はふっとため息をつくと、帰り支度を始めた。瑞穂は部活動で、玲子は一人、帰途についた。今夜の食事も一人分。簡単に済ませてしまおうと考え、スーパーにも寄らず、まっすぐ帰るつもりであった。

 路地裏で、5人の男達が、バックの中から鉄パイプやバットを取り出す。一人がハンディに保存されている写真を仲間に見せ、通りを歩いてくる3人の小学生を指し示す。
「あいつだ、いいな、5人がかりでいくぞ。」と言うと、4人が頷き、指示をした男はハンディの写真のデータを消去する。いよいよ獲物が近づいてくる。
 人通りの多い道で、通行人の悲鳴が響いた。男5人が鉄パイプやバットを振り回し、恵たちに向かってくる。
「いけない!」と、ユリは恵の前に立ちはだかる、先頭を走ってきた男はユリに向かって鉄パイプを振り下ろす。しかし、それは、むなしく路面を打った。ユリの鋭い動きは、鉄パイプをかわし、男の胸に一撃を加える。男は激痛の余りその場にうずくまった。逃げまどう通行人の中を、ユリは恵の姿をさがす、ユリが恵の姿を捕らえたとき、男が恵を捕まえ、鉄パイプを振り下ろすところだった。ユリが、男に向かってダッシュをかける。と、まさにそのとき、ユリのセンサーに、ふっとマルスの姿が現れ、鉄パイプを持つ腕をつかんだ。そこから先は、なにが起こったのか、ユリには、わからなかった。男は突然、腹を押さえてうずくまり、次の瞬間、ぐらりとよろめき、倒れる。周りを見れば、残りの3人の男たちが、倒れていた。手にしていたバットやパイプは、無残にまがったものもあり、道路に転がってる。
「そんな・・・」と、ユリは絶句した。何事も無かったように、マルスが恵のそばに現れた。
「恵ちゃん。ユリちゃん。終わったよ。」と、マルスがいう。恵は恐怖のためか、道路に座り込んでいる。
「恵、大丈夫?」
 ユリの言葉に、恵はユリに抱きついた。しかし、立ち上がることが、できなかった。程なく、周囲の人たちの通報で警察のパトカーが到着し、襲撃犯を逮捕し、恵たちを保護した。

「サム、ちょうど良かった。帰ってきて早々、悪いんだけど、一緒に来てもらえるかしら。」
 サムはノーマとともに海軍基地から家に帰ったところだった。
「かまわないけど、こんな時間に買い物かい、母さん。」
「玲子を迎えに行こうと思うの。」
「わかった。すぐに車を玄関につけるよ。」
「ケンがいればケンに頼むところだけど、経営会議に出ているんで遅くなるのよ。悪いわね。」
「いや、いいんだ。これは仕事だからね。」
「あら、そう。まるでなにが起きているかわかっているようね、サム。」
「まあね。」とサムは答えた。

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不純な動機

 最近、レジ袋が有料化となり、マイバッグが当たり前のように見られるようになりましたが、私がマイバッグを使い始めた頃は、レジ袋を断るごとに、後ろめたい気分が伴いました。レジ係の人が、品物一つ一つにテープを貼ってくれたりして、なんか余分な手間をかけさせているようで、ずいぶん、気が引けたものです。 それでも、マイバッグを使おうとしたのは、「たまる一方のレジ袋がいや」という、「エコ」とは、ほど遠い、不純な動機です。
 そのうち、マイバッグ持参の場合はスタンプをおしてくれるようになり、スタンプがたまると、キャッシュバックの特典がつくようになってからは、その後ろめたさも、だいぶ、無くなりました。エコのためといっても、敷居が高いと、実行しにくいと思います。「レジ袋有料」、「マイバッグ持参の場合はキャッシュバック」のように、「実行」イコール「得」というものがあって、初めて取り組めるものではないでしょうか。
 こつこつ貯めたスタンプカードでキャッシュバックしてもらえるとありがたいと思いますが、レジになれていない人に、たまったスタンプカードを、「ありがとうございます」と、没収され、キャッシュバックしてもらえなかった時は、ちょっと悲しいものがあります。ここで「キャッシュバックは?」と、言えないところが、私の情けないところです。そう言うときは、

「キャッシュバックなんて二の次、エコが第一」と、自分に言い訳します。coldsweats01

グローバル・ストライクVol.2:グランド・パワー

 アメリカ合衆国が保有する、陸戦部隊を描いたドキュメンタリーです。湾岸戦争、アフガニスタン、イラク戦争で投入された部隊の具体的な姿が理解できる良いドキュメンタリーです。実戦映像もあり、多少画質が悪いところもありますが、部隊がどのように運用されるかがわかります。空挺部隊による敵地侵攻、ガンシップAC-130Hスペクター、MC-130やMH-53Jなどの特殊戦用航空機による攻撃支援。海兵隊が保有する、水陸両用強襲車両AAAV7、最新型EFVによる侵攻作戦。ティルトローター機V-22の映像が見られます。
 グローバルストライクVol.1エア・パワーと合わせてみると、アメリカ合衆国の軍事力の凄まじさがよくわかります。以上の二つのDVDをセットにしたDVD-BOXもあります。

 英語版日本語字幕付きです。

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ファントムナイツ96

 マルスのクラスは体育の時間だった。恵はかなり足が速い。ユリをのぞけばクラスで一番早かった。ユリはその恵よりも速い。だが、マルスはそれほどには速くはなかった。
「マルス! まじめに走っているの?」と、井上先生に言われる始末だった。
「ごめんなさい。これが精一杯です。これ以上は速くは走れません。」
「マルスはポンコツだ。」という笑い声が沸いた。
「こら! そこ、そんなことは言わない!」と、井上が叱り飛ばす。
 校庭の別の場所では、玲子のクラスが体育の授業を受けていた。当然、井上先生の声が玲子にも聞こえてきた。
「まったくもう、なんて不器用なのかしら。」と、玲子が嘆いても仕方がない。マルスがそのように作られているからである。だが、いじめっ子から逃れるための、逃げ足の速さくらいあってもいいのにと玲子は考えていた。
「玲子、弟が心配?」と瑞穂が話しかけてきた。
「でも、授業中にぼんやりしてると、いけないわ。」
「ごめん、瑞穂。」
「大丈夫、護の話だと恵ちゃんがついているんだから、マルスをいじめる奴は、逆に締め上げられるのがオチよ。」と、瑞穂が言った。その恵という少女がマルスの護衛の対象である。それにしても、ここまで言われる恵という子は、どれほどけんかが強いんだろうか。

 昼休み、玲子は瑞穂とみつ子と一緒に、外で弁当を広げた。
「瑞穂、恵ちゃんてどんな子なの?」と、玲子が聞く。
「護の話だと、一緒につれているユリというアンドロイドから、護身術を教わったみたい。まあ、ただでさえ、シティコーディネーターの補佐役の娘でしょう。良く狙われているみたい。だから、身辺警護にユリをつれていて、普段はユリを守っているということかしら。」
「そうなんだ」と玲子が納得した。
「玲子さん。マルスもほんとは強かったりして。」と、みつ子が言う
「えっ?」
「だって、ほら、能ある鷹は爪を隠すと言うでしょう。マルスが不器用というのは、ロボットとしてはすごく不自然ですよね。」
 これが高等部一のマイペース兼天然記念物と言われているみつ子の言ったことである。
「マルスは学習型なの。ある程度、手間暇かけて教えないといけないの・・・・」と、玲子は適当にごまかすが、それが通用したかどうかは、みつ子のぽーとした表情からはわからなかった。たぶん、通じなかっただろう。

 古巣に戻った藤波警部は、森泉一派の逮捕に向けて、網を張り始めた。その網がきわめて容易に閉じていくのを感じて、藤波はあらためて、西郷司令の恐ろしさをかみしめた。第7艦隊をパトロール航路にむけて発進させることで、シティのテロを誘発させ、実行犯を絡め取る。その一件で、プレストシティの情勢は一気に変わった。テロの当日、全く動かなかった陸軍は、議会から叱責をうけ、組織の立場を弱めつつある。また、シティ当局に潜り込んでいたセレクターズのメンバーも、次々、摘発された。それは警察内部にもおよび、警察の中の勢力図も変わった。
「まいったね、どうも。」と、藤波がつぶやいた。警察組織の勢力図が変わらなければ、彼の出向が解かれることもなかっただろう。森泉一派を押さえるのは時間の問題だった。藤波の捜査の手は、森泉の目の前まで迫っていたからである。

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