ファントムナイツ 第20章 迫る脅威 ~7~
喫茶店からジェーンを連れだしたマルスは、偵察型ハミングバードの1機を呼び出し、自分がいる周辺の探査を行った。幸い、モルガンたちを追うハミングバードが、複数、飛んでいたので、その中の1機を回してもらった。
「大丈夫だよ、ジェーン、僕がついてる。」
「あなたは玲子といっしょのときは、甘えん坊なのに、こういうときは頼もしいわね。」
「お姉ちゃんは強いもの。それに、今はジェーンの方が心配。お姉ちゃんもついていけっと言ったし。それで、どこへ行く?」
「とりあえず、サムソンインダストリーへ。セレクターズの司令官が来たことと、私のことを見破ったことを報告しないと。」
「わかった。車を呼んでいては、時間がかかるから、シティトラムで行こう。大丈夫、セレクターズの侵入者は、昨日から、行動をモニターしてるの。今、郊外の駐車上行きのトラムに乗っている。僕らとは反対方向だよ。」
マルスへは通信機能「リンク3」を通じて、ハミングバードから随時、情報が得られる。また、マルスは先程のモルガンたちの会話の盗聴データを基地に送っていた。それは直ちにプレスト海軍で解析されるはずである。マルスはジェーンの手を握りしめながら、サムソンインダストリーへと向かった。
西郷は連絡機でプレスト海軍司令部に戻った。彼がついた頃には、チェンバレン博士とジェーン。そしてスコット司令や川崎中将が集まっていた。
「報告書を読むか?」とスコット司令が紙片を差し出す。西郷はざっと内容を読む。
「やはり、司令官はモルガンでしたか。このマルスが撮影した顔写真を見れば確実ですね。」と、西郷が言う。
「どう思うね。彼はジェーンのことを脱走したサイボーグだと見破ったらしい。また、盗聴されていることも、想定していたようだ。」と、スコットが要点を言った。西郷はしばし考えてから意見を述べた。
「この会話内容からすると、モルガンはジェーンが生きていることを、組織に報告しないでしょう。私はモルガン提督には会ったことがありませんが、川崎中将から聞いた人物像と照らし合わせても、この点は心配ないと思います。チェンバレン博士は、この男に会ったことが有りますか?」
「セレクターズの施設内で「提督」と呼ばれていたことは知っています。サイボーグを人間として扱ってくれた希有な人でした。また、サイボーグ部隊を信頼していました。ですが、彼が作戦行動で出かけている間に、開発された新型ロボット兵器の標的として、サイボーグ達が殺されました。この提督がいれば、そうはならなかったでしょう。」と、チェンバレンが証言した。川崎中将がジェーンに向かっていった。
「ジェーン、私はモルガン提督を個人的に知っていますが、彼は君のことを、あえて上には報告せず、何もしないと思います。彼は盗聴されていることを承知で、そのことを伝えるために、あえて上には報告するなと、はっきり言っているのだと思います。それが、彼の本心でしょう。そういう男です。ですが、心配なら、しばらく、サムソンインダストリーに隠れているといいです。おそらく、数ヶ月の辛抱ですよ。」



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