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2009年11月 1日 (日)

ファントムナイツ 第36章 マルス帰還 8

「ほら、帰ってきた。」とソレイユが指さした。二人の目に大型の輸送機と、小型の三角翼のドルフィンの機影が見えた。そして、その2機の後ろに、奇妙な形の飛行物体が従っている。初めのうちは、玲子にはよくわからなかったが、やがて、翼をつけたプロメテウスであることがわかった。輸送機が旋回し、滑走路への進入経路を調整しているのに対し、垂直離着陸が可能なドルフィンは、玲子とソレイユの立つそばにある、小さな着陸スポットに向け、まっすぐに降下してきた。そして、プロメテウスも降下してくる。
 着陸スポットに降りたドルフィンとプロメテウスから、ルーナとマルスが降りて来るのが見える。ドルフィンとプロメテウスに駆け寄った整備員が、ルーナとマルスに大きく手を振って、玲子とソレイユの方を指さしているようだ。

「ソレイユとお姉さんがあっちに来ているぞ。プロメテウスとドルフィンの収容は俺たちがやるから、すぐ、二人のところへ行ってやれ。」と、ルーナとマルスに整備員が言う。
「でも・・・・」と、ルーナは口ごもる。マスターが来ているマルスはともかく、ルーナにはすぐに行く理由がなかった。マルスはすぐに飛び降りて、整備員に「ありがとう」と言って会釈すると、一目散に玲子のところへ駆けていった。整備長がルーナに向かって大声を張り上げる。
「ルーナ、ボーイフレンドとずいぶん会っていないだろう。準待機に入ったんだから、早く会ってきな! 元気な顔を見せてやれ。一番、大切なことだぞ!」
 ルーナは一瞬困ったような表情を浮かべたが、すぐに機体を降りた。
「ありがとうございます。」と、ルーナも会釈すると、一目散にサムソンインダストリーの建物へ向かって駆けていった。
 プロメテウスはルーナとマルスを見送るように、首を巡らせている。その様子を見上げた整備長が大声を上げる。
「大将もマスターに会いたいか?」
 プロメテウスは大きな頭部を横に振ると、しずかに格納庫に向けて歩き出した。帽子を目深にかぶりなおした整備長は小声で言う。
「彼女だったら、後で来てくれるとは思うがな、プロメテウス。その前に、海水で汚れたおまえを洗浄しておくか。」
 その声はプロメテウスのセンサーがとらえていた。

 玲子が待つ場所に、マルスは一目散に駆けてきた。ソレイユはルーナがサムソンインダストリーに向かって駆けていくのを見て、ほほえんだ。整備員の人たちも、いきなことをする。
「ただいま! お姉ちゃん!!」と、マルスは玲子に飛びついた。その勢いに、思わず玲子がよろける。だが玲子もマルスをしっかりと抱きしめた。
「お帰り、マルス」
 ソレイユは玲子が涙ぐんでいることに気がついた。
「良かったね、玲子」と、ソレイユは小声で言った。

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