消えたミツバチの謎 蜂群崩壊症候群(CCD)
日経サイエンス7月号の記事です。
ミツバチが消えると言うことは、最近よく聞かれますが、記事によると、始まりは2006年秋だそうです。アメリカ合衆国の養蜂家ハッケンバーグ氏の3000個あった巣箱のうち、半分以上から蜂が消えました。ミツバチの死骸はなく、残りの巣箱も、残っていたのは若い働きバチと女王バチだけだったとのこと。これらの大量の蜂の失踪は、2007年春には一時的には、とまったそうです。調査の結果、全米の養蜂家が同様の経験をし、30%のミツバチが失われたことがわかりました。
原因として考えられたのが、ダニなど寄生虫による影響、ウイルスによる病気、農薬などの科学物質の悪影響等ですが、一つの原因では決め手にはならず、CCDの説明ができません。記事を書いたペンシルベニア州立大学のD.コックス=フォスター氏とD.ファンエンゲルスドープ氏は何か複合的な原因によって生じていると考えているようです。
原因は特定されていないので、決定的な対策は見いだされていないようですが、古い巣箱をガンマ線で消毒する(ウイルス等のDNAを破壊する)など効果があるとされていますが、別の身近な方法で、ミツバチの大量死をある程度防いだ養蜂家もいるようです。つまりミツバチの健康を保つという素朴な方法です。本来、受粉のため使われるミツバチは、単一の植物の蜜を集めますが、それではミツバチの栄養状態は悪くなるというのです。そこで、栄養状態を改善するため、単一栽培地に生け垣をもうけ、ミツバチが多様な花から蜜を採取できるように心がけたところ、大量死をある程度防げたと言います。原因はともかく、生物多様性という手法で、解決の糸口を探すというのも、いいのかもしれません。
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